無農薬の里を目指す「秋保」から

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農業と福祉が手を取り合ってできるもの 第0回

 今回は連載の開始に先立ち、筆をとる佐藤茂氏と経営されている農業生産法人について、ご紹介したいと思います。
 
 東北地方は宮城県仙台市、仙台駅から車で30分ほどの距離に秋保(あきう)温泉郷があります。温泉郷から日本一マイナスイオンの出ている滝、秋保大滝に向かう途中、左右には見事な里山が広がります。

 この里山でおよそ30年前から有機農法に取り組んでいる農業生産法人の佐藤茂さん、農業に従事する傍ら障碍をお持ちの方の農業にも精力的に取り組んでおり、現在約15名を受け入れています。

有機農業への想い

 佐藤夫妻が秋保の地で農業に取り組み始めたのは、およそ30年前のことでした。どうせやるなら昔ながらのやり方で…と、当初から農薬や化学肥料を一切使わずに野菜を育ててきました。当時は化学農法全盛の時代。「あの頃は周囲から変わり者に見られていましたね」とは茂さんの談です。

 秋保大滝近くの里山は、周囲の農薬の影響を受けにくく、農薬や化学肥料に頼らない「自然循環型農法」を実践するのに、もってこいの場所でした。山間地で寒暖の差が大きく、霧が多く発生する気象条件が味の濃いしっかりした野菜を育てます。「アトピーや喘息持ちのお子さんで悩むお母さんたちが、『子どもにうちの野菜を食べさせたい』と来てくれるようになって。『佐藤さんの野菜で元気になった』って話を聞くたびに、自分達のやり方でいいんだって、背中を押してもらいました。お客さんの声に勇気をもらって、これまで作り続けてこれたんですよ」と奥さんの秀子さんは話します。

障碍者の受け入れと地域コミュニティー作りへ

 夫婦でこつこつ続けて来た野菜作り。時代の後押しもあり、二人の活動は大きく広がっています。そのひとつが、知的障碍者の小規模作業所「サンサンファクトリー」の開設です。障碍者も健常者も、それぞれが得意な仕事の中で能力を発揮できる場を作ろうと、5年前の春に開設し、農業と福祉を結びつけた試みとして注目を集めています。また、農園で採れた自慢の野菜を味わえる「農家のレストラン」、田んぼのオーナー制度や農業体験プログラムなど、都市の人々に農村へ足を運んでもらうための様々な取り組みが積極的に行なわれてきました。

 これらはどれも「農村ならではのコミュニティーを作りたい」という佐藤夫妻の気持ちから生まれたもの。「地域をなんとかしたいという気持ちが大きいんです。都市の人に農村へ来てもらうことも、その働きかけのひとつ。実際に採れたての野菜を味わったり、風を感じ土に触れたりすることをきっかけにして、食の大切さやほんものを食べる喜びを感じて欲しいですね。私達の仕事を理解してもらうことが、農業者を守ること、ひいては農地を守ることにも繋がっていくのではないでしょうか」

「無農薬の里」秋保を目指して

 これまでも多くの農業研修生を受け入れてきた佐藤夫妻ですが、この土地で農業をやってみたいという人材を今後はもっと育てたいと考えています。

 「これからの農業は、個人の農家だけではなく集落で営むという意識が必要になってきます。ですから、ここ秋保で良質な野菜を作れる人材を育てることが今後の課題。およそ30年かけて得たスキルをどんどん伝えていこうと思っています。同時に、食の大切さを理解し、自分達の野菜を選んで食べてくれる応援団を増やすことも大切ですね」とは茂さん。

 生産者と消費者が手を携え、環境に配慮した良質な野菜が手に入る「秋保ブランド」を育てていくことが目標の佐藤茂さん。障碍をお持ちの方もそうでない方も一緒になって作りあげられる秋保ブランドについて、お伝えして頂きます。

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