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福祉立国デンマークはどんな国?3

2009年12月18日 タグ 記事を印刷 記事を印刷

デンマーク福祉社会とバンク‐ミケルセンの思想と実践 第4 回

高福祉高税

デンマーク連載24回シリーズ ほぼ同じ規模の日本の特別養護老人ホームと、フュン島の高齢者介護施設(プライイェム)との比較データでは、全体の経費、職員の数、ともにほぼデンマークが1.8倍となっています。職員数が多いので、プライイェムでは個別的ケアが可能であり、職員・入所者ともにゆったりとした時間が持てるようになっています。

 また、ある情緒障碍児施設*1では、入所児童数30名に対して、職員が日本の同等施設のほぼ倍の数だったことから、福祉に予算をかけて子供を大事にしているのがわかります。

 このような福祉の実現のためには、税負担が大きいが、「高福祉高負担」ではなく、「高福祉高税」という理解をデンマーク国民はしています。

 税金は、所得税が平均50%、消費税は25%です。税金は高いですが、地方分権が進んでおり、前述したような手厚い福祉政策があるので、国民はおおむね満足しています。

デンマーク国民の税金と福祉に関する意識調査

出典:野村武夫,2004,「ノーマライゼーションが生まれた国・デンマーク」ミネルヴァ書房pp.46(クリックして拡大)

出典:野村武夫,2004,「ノーマライゼーションが生まれた国・デンマーク」ミネルヴァ書房pp.46(クリックして拡大)

デンマークの教育

デンマークの教育は諸外国からも注目の的写真 Sunrise Ottah

デンマークの教育は諸外国からも注目の的

 デンマークでは、一人ひとりを大事にしていて、子供も一人の人間として尊重しています。また、デンマークは競争原理での教育をおこなっていません。

 幼稚園(1年制)は公立学校に付属し、読み書きを教えてはならず、子供が聞けばそれに答える程度です。幼稚園の一番の目的は「遊び」と「友達と仲良くすること」です。

 義務教育は9年制で、1クラス28人を限度としています。子供に合わせて読本は異なり、「何ができる、できない」ではなく、「自分に合っている、合っていない」が基準としているため、子供同士の競争心はありません。通信簿もなく、親は年2回の個別面談で子供の学習状況などを知ります。また教師の自主性も保障されており、対話のなかで考えさせる教育、個性をのばす教育、人格を形成させ社会性を身につける教育を進め、このような教育から真の民主主義が生まれるという考え方を持っています。その為、小学生でも、質問や発言を遠慮したりすることはなく、物おじせず自分の意見を述べます。

 小学校から大学まで、教育費は無料です。その上、高等学校や大学では、返済の必要のない奨学金が国からもらえます。例えば大学生で月6~8万円程度の奨学金が支払われます。

 高等学校の進学率は35%程度であり、本当に必要な人しか高校に行きません。大学への進学はその半分です。高等学校に行かない者は職業訓練学校に行き、手に職をつけます。高等学校に行くことと、訓練校に行くことに優劣の差はありません。

一言でフォルケホイスコーレといっても、様々なタイプの学校があります写真 escher_47

一言でフォルケホイスコーレといっても、様々なタイプの学校があります

 この他、フォルケホイスコーレというデンマーク独自の教育機関があります。1844年に、グルントビーが最初に創立し、フォルケホイスコーレとは民衆の大学という意味です。これはデンマークが高福祉国家になることができた要因の一つで、特徴は、入学資格は17.5才以上であればよいこと、全寮制で、校長や教師が同じ敷地内に居住すること、試験をしてはいけないこと、資格を与えてはいけないこと、などです。

 国民の70~80%が、この種類の学校を利用したことがあり、デンマークの真の民主主義の形成の源になっています。

 このグルントビーの思想がデンマークの福祉にも影響しており、グルントビーの教育思想とバンク‐ミケルセンの福祉思想があいまって、今のデンマークの国の教育福祉の思想ができてきていると言えるのです。


*1小学生から18歳くらいまでが対象、家庭環境に問題があり学習の遅れや、情緒不安定などをもつ子供を預かる施設

佐藤豊:NPO法人や社会福祉法人で知的障碍者授産施設の経営、ヘルパーの養成に長年携わるなど福祉事業をライフワークとして取り組んでいる。早稲田大学公共経営学術院修士課程修了。岩手県一関市出身。

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1コメント »

  • ホー ドー の発言:

    (1)私の知識ではカタール、UAE、ブルネイ、デンマーク、ノルウェーには少人数で石油をデンマークは中東ほどではありませんが北海油田と天然ガス所有していています。日本との違いはやもえないと感じます。
    (2)アジアと欧米の違いは平地割合と人口密度です。狭い平地に多い人口のアジアは立退き・土地買収費、高架化等があり、多い山ではトンネル、渓谷の橋、山を削った道路や鉄道があります。欧米は空き地に作る割合が高いです。
    (3)日本は世界最大の地震国で家を何百年も住める場所とは建て替えの負担が全く違いますし、高架や橋もそうです。社会負担の余裕と種類が違わざるをえないのではないでしょうか。

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