ノーマライゼーションの思想の世界的な広がり1
デンマーク福祉社会とバンク‐ミケルセンの思想と実践 第22回
バンク‐ミケルセンのノーマライゼーションの思想は、彼の精力的な活動が成果を生み、社会に広がっていくことになりました。ノーマライゼーションの思想の世界への進展について野村氏はは以下のように述べています。
ノーマライゼーションの考え方は「ノーマライゼーションの育ての父」といわれるスウェーデンのベンクト・ニーリエ(1924~)が、普通の生活を測る物差しとして「八つの原理」を明らかにし、それを英文にしたことから大きく各国に広がっていったと言われている。
この八つの原理については、第6回で説明した通りです。
また、同じく第7回で述べたように、ヴォルフェンスベルガーが、デンマークとスウェーデンのノーマライゼーションの定義を、アメリカの文化的状況において、再構成しようと試みました。バンク‐ミケルセンやニーリエが、環境条件に重点を置いたノーマライゼーション理論を展開しているのに対し、ヴォルフェンスベルガーは、環境整備とともに、対人援助システム化を強調しました。この原理は1970年代のアメリカの脱施設化運動や自立生活運動などと関連して発展していきます。
ノーマライゼーションの理念は、1971年に国連総会で採択された「知的障害者権利宣言」の中に反映され、知的障碍者の権利保護の共通の基礎あるいは指針として使用されるよう加盟各国に要請しています。また、アメリカ政府の「知的障碍者に関する大統領委員会」が刊行する文書の中に、北欧諸国で実践されているノーマライゼーションの理念が紹介されました。
ノーマライゼーションの理念が世界的に影響を与えたのは、1981年の「国際障碍者年」の制定だと言われています。これは国連が障碍のある人々の問題を世界的な規模で取り上げ、啓蒙活動を行う世界最初の共同行動でした。「完全参加と平等」というテーマのもとで、以下の内容が盛り込まれました。
- 障害者の社会への適合の援助
- 就労機会の保障
- 障害者の社会参加権周知のための情報提供
次回は最終回です。
野村武夫,前掲書,pp.111
佐藤豊:NPO法人や社会福祉法人で知的障碍者授産施設の経営、ヘルパーの養成に長年携わるなど福祉事業をライフワークとして取り組んでいる。早稲田大学公共経営学術院修士課程修了。岩手県一関市出身。
あわせてどうぞ:
- デンマーク福祉社会とバンク‐ミケルセンの思想と実践
- ノーマライゼーションの思想の世界的な広がり2
- ノーマライゼイションの連載24回分のまとめ
- 法の制定とノーマライゼーションの実現
- ノーマライゼーションへの誤解とその定義





コメントをどうぞ