“全然”の使い方

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「全然美味しい」「全然おもしろい」の全然+肯定語

 夏目漱石は小説の中で「全然よろしい」という書き方をしている。最近、「全然美味しい」「全然おもしろい」などと、「全然+肯定語」の使い方をする若者が多いようだが、かくいう私もその一人。

うさぎphoto by Sheep purple

全然かわいいウザギたち

 で、先日、ある方に「全然の後には否定語がくるのに、最近は若者は肯定語を使うから居心地が悪いよね」と言われた。

 う~ん、果たして本当なのか?

 まず辞書で“全然”を引いてみると、あとに打ち消しの語や否定的な表現を伴って「まったく、まるで、少しも、まるっきり」という意味になると書いてある。

 然るに考えてみた。これはあくまでも私の考え方なのだが、例えば私はイクラが苦手だった。私の中では「イクラは美味しくない」という常識が出来上がっていた。

「イクラって美味しかったんだぁー」を表現するための「全然」

 ところが、北海道旅行から帰って来た友人から貰ったお土産のイクラを食べてみると、新鮮な故、驚くほど美味しく、これまでの「イクラは美味しくない」という常識が覆されてしまった。そのあまりの美味しさに、思わず私はこう叫んでいた。

 「このイクラ、全然美味しいね!」

 そう、イクラは美味しくないという私の常識を否定した言葉だった。
面白くないと思っていたものが面白かった、美味しくないと思っていたものが美味しかった。そういう考えや思い込みを否定するため、「全然」という言葉を意識もせず前につけていたのだ。
 もしかして、最近の若者たちも、そんな感覚で「全然+肯定語」を使っているのだろうか?

 で、よくよく調べてみるに、その昔、「全然」は否定語にも肯定語にも使っていたそう。ということは、まんざら間違ってもいないということだ。俗用、誤用などと言われているが、本来の意味は「すべて」「十全」だから、「全然大丈夫」や「全然同感」は正しいが、「非常に」「断然」という意味で「全然美味しくない」となると俗用ということになるらしい。

 それと同じことが「とても」にもいえる。
「全然+否定語」と同様、「とても+否定語」という使われ方が、古くからの用法だという。なので、「とても可愛くない」「とてもおかしい」などだ。

川端真弓。フリーライター/薬膳アドバイザー。埼玉県所沢市在住。1986年に「無理なく無駄なく簡単エコロジー」を合言葉に、子育て中の主婦でも身近にできる環境問題を考えるサークルを発足。以来、無農薬栽培など風土に根差した生き方を模索中。現在は、写真と詞をコラボした新しい感覚のアート「PHOTOEMほちょう調」を広める活動にも携わっている。WEBサイトはこちら

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