生きる意味を考える『がん哲学外来』

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生きる意味を考える『がん哲学外来』

 

 世界でも突出した長寿国である日本。平均寿命は年々長くなり、人口にしめる高齢者の割合も高くなり続けています。健康に長生きをしながら人生を全うすることはとても幸せなことですが、寿命が長くなるにつれて、病気にかかってしまうリスクも高まっています。主な病気のひとつに『がん』があります。今では、4人に1人が『がん』にかかるといわれているくらい一般化した病気であり、治療方法も昔に比べて高度な技術が開発されるようになり、多くの方が『がん』を克服さえています。しかしながら、大病のひとつといわれる『がん』を患うことは身体的にも精神的も非常に大きな負担がかかるものであり、病気になったことがわかったとき、病中、病後と、それぞれの時期ごとに異なる想いを持つことになります。ひとりではなかなかかかえきれない想いをケアするために、『がん哲学外来』があることをご存知ですか?

 

Photo by Japanexperterna.se

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 人は、自分自身もしくは家族などの身近な人が『がん』にかかった時に、初めて死というものを意識し、同時に、自分がこれまでいかに生きてきたか、これからどう生きるべきか、死ぬまでに何をなすべきかを真剣に考える状況におかれるといわれています。しかしながら、医療現場では、患者の病状や治療の説明をすることが手一杯になってしまい、がん患者や家族の精神的な苦痛までを軽減させることができないのが現状です。 そうした医療現場と患者の間にある「隙間」を埋めるために生まれたのが、『がん哲学外来』なのです。科学としての『がん』がどのような病気なのかを学びながら、『がん』に対して哲学的な考え方を取り入れて、身体的にも思考的にも『がん』を理解し、克服するための力を身に付けるサポートをしています。

 

 医療現場と患者の「隙間」を埋めるために選ばれたのは、病院や医療機関といった場所はもちろんのこと、もっと人々が集まりやすい場所で、医療人や患者、家族という立場を越えて集う交流の場を作ることで始まりました。その活動は全国へ展開され、2009年には『特定非営利活動法人(NPO法人)がん哲学外来』が設立されることになりました。さらに、「隙間」を埋める活動を担う人材の育成や『がん哲学外来』の活動を推進するためのコーディネーターを教育するために、2011年には、「がん哲学市民学会」が市民によって設立され、「がん哲学外来コーディネーター」養成講座もスタートしました。

 

 『がん哲学外来』が全国的にひろがっていくことで、次のような社会を目指しています。

 

◆『がん』であっても、尊厳を持って人生を生き切ることのできる社会

◆病気であっても病人ではない、安心した人生を送ることができる精神と環境

 

 健康な毎日では、生きる意味を問い続けることは難しいことかもしれません。重い病気になり命を意識したときに人は何を思うのでしょうか。人々と共に気持ちを分かち合い、ともに一歩を踏み出していくことの大切さをサポートしている『がん哲学外来』の活動にこれからも注目していきたいですね。

 

※参考資料:
一般社団法人『がん哲学外来』
http://www.gantetsugaku.org/

ライター:野間能子 ノーマ・プランニング。医療・スポーツ・美容・飲食など、ライフスタイル全般のプランニング、編集・執筆、商品企画などを行う。

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