「牙潜」の朗読で元気が沸いてくる
(集中連載)朗読で内なるエネルギーが湧いてくる 第7話
前回までの朗読はこちら。子どものころはよく軒先のつららをもぎ取って遊んだりしたものですが、最近は大きなつららを見かけることがとんと無くなったように思えます。これも温暖化の影響なのでしょうか。雪不足のバンクーバーオリンピック会場には無事雪が積もって欲しいものですね。
この朗読は読み手自身が聞き手となるいわば独り朗読です。
どうか声に出してあなたの耳にお聞かせ下さい。
「牙潜」(きばせん)
朝起きると屋根に氷柱が出来ていた
それはもう
お家が牙を剥き出しにしているみたいだ
夕方帰ると屋根の氷柱がなくなっていた
陽に照らされて融け落ちたのかもしれない
それとも
子供が面白がって取ったのかもしれない
今晩も冷えそうだ
朝起きると屋根に氷柱が出来ていた
それはまた
お家が牙を剥き出しにしている
そう
牙が生え変わったのだ
お家は
まるで丘に上がったサメのようだ
僕の前歯が一本
取れかかっていた
僕は大人の歯に変わろうとしている
早く抜けないか楽しみだ
そう思いながら学校に向かった
二洋介(フタツヨウスケ) 1984年生まれ。岩手で活動している役者。
短篇の詩、物語を中心にした朗読文を創作している。
個々の芸能・芸術表現を研究・支援するチーム、 E.A.T. MAD SWEEPERを主催。
mixiにも参加。