男性介護“ケアメン”

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要介護者500万人、男性介護者100万人の時代

 一昔前、介護をするのは女性というイメージが強かったものの、最近、注目を集めているのが男性介護“ケアメン”だ。

 経験のない者にとっては想像もつかないほど、介護の現場は厳しい。現在、要介護者は500万人にもなるという。その中で男性の介護者が100万人を超える時代。

 男性介護者の活動を応援する立命館大学の津止正敏教授は、「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」(男性介護ネット)の事務局長でもある。津止教授が男性介護者への支援に関わったきっかけは以下の通りだ。

 「京都市社会福祉協議会に勤めていた時、男性介護者の話を聞く機会があり、これが面白かった。離職して妻の介護を始めたが、何がしんどいかといえば、下の世話でも家事でもない。買い物だという。奥さん方に交じってレジに並ぶのが恥ずかしいし、妻の下着を買うのは難題だと。

 1995年当時は女性介護者が圧倒的に多かったが、男性の登場により、新しい介護環境が必要になると感じた。ちょうど故郷の母親が老人性うつ病になり、自分の問題として考えざるを得なかった面もある」(読売新聞朝刊 2011/2/1 「私のあんしん提言」~)

介護も仕事も生活も楽しめるような社会、地域づくりを

 そんな津止教授が、2003年に学生たちと行った介護の実態調査では、8割以上が70歳以上で、その大半が夫婦2人暮らしだった。家事や介護のスキルがない男性介護者。2006年には、京都市内で当時54歳の息子が86歳の母親の命を奪う事件が発生した。

 そんな現実を目の当たりにし、津止教授は2009年に「男性介護ネット」を設立。最近では、育児を積極的にこなす男性を“イクメン”と呼ぶことから、介護を積極的に行う男性を“ケアメン”と提唱。読売新聞のインタビューでは、「介護も仕事も生活も楽しめるような社会、地域づくりを提案したい」と語っている。

 こうしたケアメンが集まった「男性介護者のつどいTOMO」の主宰者・山内さんは、突然始まった妻と母の介護について、総合生活情報誌「リビング京都」(2011/1/8号)で次のように振り返っている。

「自営業で時間の融通が利くとはいえ、仕事との両立がつらかった。家に主婦が2人いた生活から一転、試行錯誤の連続でしたね。周りには同じ境遇の男性はいませんでした。自分の苦しみをわかってくれる人がほしかった」

共感の早さや深さが違う同時者同士が語り合える場

 10年以上続いた山内さんの介護。そんな中、津止教授の「男性介護ネット」に参加し、自分たちでも苦労話を語り合えるような場を作りたいと思い「男性介護者のつどいTOMO」を発足。

 「男性には“介護の苦労を人に話してはいけない”と思っている人が多いですが、当事者同士で話すと楽になれる。共感の早さ・深さが違いますから」と山内さん。将来は、こうした意見をまとめて国へ提言していきたいと考えている。

 今まで女性だけにまかせっきりだった介護の現場に、こうしたケアメンが登場したことで、介護の大変さを理解してもらえることは、女性介護者にとっても大きな支えとなるはず。今後のケアメンの活動に大いに期待したいものだ。

■リビング京都/特集・ひと「男同士、当事者同士、介護のことを話そう」
http://www.kyotoliving.co.jp/article/110108/last/c/index.html

川端真弓。フリーライター/薬膳アドバイザー。埼玉県所沢市在住。1986年に「無理なく無駄なく簡単エコロジー」を合言葉に、子育て中の主婦でも身近にできる環境問題を考えるサークルを発足。以来、無農薬栽培など風土に根差した生き方を模索中。現在は、写真と詞をコラボした新しい感覚のアート「PHOTOEMほちょう調」を広める活動にも携わっている。WEBサイトはこちら

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