アタプティブローイング
気持ちをひとつに!『アタプティブローイング』
『アタプティブローイング』をご存知ですか?
一般的に『ローイング』と呼ばれるのが、ボートを使ったスポーツです。
『ローイング』における、障害をお持ちの方のためのスポーツを、『アダプティブローイング』と呼んでいます。
世界ボート選手権では、2002年のセビリア大会から始まり、パラリンピックでは、2008年の北京大会より、新競技となったスポーツです。
『アタプティブローイング』は、ゴールまでの1,000メートルをボートで漕いで、その着順を競います。
その際、タイムも計測されますが、水の流れや風によって左右されるため、あくまで着順が基本となります。
『アタプティブローイング』の中の種目は、肢体や視覚に障害をお持ちの方々において、いくつかのカテゴリーが設定されています。
Lは「レグ」脚、Tは「トランク」体幹、Aは「アーム」腕を意味します。
これらの、どの部位を使えるかということと、ボートの種類をあらわす記号で、種目を表現します。
ボートの種類は、ローヤー(漕手)の人数、スカル種目ではX、コックス(舵手)がつけば+の記号をつけてあらわします。
こうした記号を使って表示をするのですが、例えば、AM1X、AW1Xは、腕だけで漕ぐ男子、女子のシングルスカルがあります。
ARMS1×(腕)は、固定されたシングルスカルを漕ぎます。
シートには高い背もたれがあり、選手を固定し、腕と肩だけで艇を動かすことになります。
脳性麻痺や、神経障害などの胴体を動かすことが出来ない選手が対象となります。
TA2Xは、上体と腕だけで漕ぐ、男女ミックスによるダブルスカルです。
TA2X(胴・腕)は、公正を期すためシートが固定された2×を漕ぎます。
骨盤をシートに固定することができることが条件となり、脚を切断されていらっしゃる方、神経障害をお持ちの方、脳性麻痺の方、その他身体の障害をお持ちの方々などが含まれます。
LTA4+は、肢体に障害をお持ちの方や、視覚に障害をお持ちの方が、男女2名ずつのミックスによる舵手付フォアです。
LTA4+(脚・胴・腕)のクラスで漕ぐ選手は、胴体や腕を使いながら、シートをスライドさせることの出来ることが条件です。
片足を失っている、指を失っている、盲目、脳性麻痺、知的障害をお持ちの方、軽程度の神経障害をお持ちの方などが対象となります。
肢体に障害をお持ちの方や、もしくは肢体に障害をお持ちの方と、視覚に障害をお持ちの方の組み合わせでもあり、コックスは健常者でも可能です。
さまざまな場所で練習や大会も行っています。
関東圏の河川での練習は、横浜市鶴見川漕艇場で、毎月第一日曜日と第三土曜日に行われています。
また、世界選手権日本代表選手選考会も開催されており、選考会を勝ち抜いて、世界大会へ出場される方々もいらっしゃいます。
全日本マスターズでは、宿泊し、前夜祭を楽しんでから、翌日の大会に参加するという一大イベントになっています。
日々の鍛練や、チームワークによって生み出されるパワーが、パラリンピックの夏の大会で、新しく競技として認められ、今後、たくさんの競技者やファンを増やしていくのでしょう。
一度、大会や、練習風景を観にいってみてはいかがでしょうか。
すいすいと水の上をすべる姿は、きっと気持ち良いでしょうね。
※参考資料:
『NPO 日本アタプティブローイング協会』
http://www.e-jaa.jp/ar_pr.htm
ライター:野間能子 ノーマ・プランニング。医療・スポーツ・美容・飲食など、ライフスタイル全般のプランニング、編集・執筆、商品企画などを行う。