家族と地域と福祉で見守るために『とうきょう認知症ナビ』
家族と地域と福祉で見守るために『とうきょう認知症ナビ』
世界でも有数の高齢化社会を有する日本では、長く生きる時間が増えていくのと同時に、起こりうるさまざまな病気に対応していくための本人の心構えと社会や福祉の基盤づくりが求められています。
がんや脳卒中といった三大疾患の他にも、最近では、認知症にかかる方が増えているといわれています。認知症とは、脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化によって、日常生活に支障が生じる程度にまで、記憶機能、及び、その他の認知機能が低下した状態のことをいいます。認知症は、高齢の方だけではなく、若い方も発症する場合がある病気でもあります。その場合は、若年性認知症と呼ばれています。
『とうきょう認知症ナビ』では、認知症になっても、認知症の人と家族が、地域で安心して暮らせるまちづくりの推進を目的して、東京都が公式サイトとして運営しています。ご自分が認知症になったかもしれないと思われた場合や、ご家族が認知症になられた場合の、生活や治療について、さまざまなアドバイスを行っています。
また、福祉の仕事につかれた方が、認知症について学ぶためにもとても有効なサイトです。
認知症の症状は、「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2つに分けることができます。
<中核症状>
病気等により脳の細胞が壊れ、その細胞が担っていた機能が失われたために生じる症状のことをいいます。
- 記憶障害
・さっき聞いたことを思い出すことができない
・覚えていたはずの記憶が失われてしまう
- 見当識障害
・時間・季節・場所等の感覚が分からなくなってしまう
・道順などが分からなくなってしまう
- 理解・判断力の障害
・考えるスピードが遅くなってしまう
・いつもと違うことで混乱しやすくなってしまう
- 実行機能障害
・前もって計画をたてることができなくなってしまう
・家電や自販機などが使いこなせなくなってしまう
<行動・心理症状(BPSD)>
「中核症状」によって、日常生活にうまく適応できなくなってしまったときに、ご本人の性格や環境、身体状況が加わることで、二次的に起こってしまう症状のことをいいます。
- 大事なものをしまい込んでしまったこと自体を忘れてしまう(中核症状の中の記憶障害)↓
- 性格的に、自立心が強く、子どもさんや介護の方に世話や迷惑をかけたくないと思われたり、もの忘れに対する不安を打ち消したいと思われる方
↓
- 家族が自分の大事な物を盗んだと思ってしまう『もの盗られ妄想』につながる
こうした症状は、最も身近で介護している方に向けられることが多いため、周囲が、認知症の症状であることを理解し、介護者を支えていくことが求められます。また、こうした症状は頻発しやすい周期があるので、いずれは治まると理解しておくことで、介護などの対応に余裕を持つことができるでしょう。
福祉や介護の現場では、目の前で起こっている症状がどういう原因で発生していて、どのような周期があるかを理解する必要があります。また、個人的な性格も影響してくることもあるため、現場のサポートチームでお互いに相談し合うことで解決の糸口を探していきたいですね。
※参考資料:
『とうきょう認知症ナビ』
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/zaishien/ninchishou_navi/index.html
ライター:野間能子 ノーマ・プランニング。医療・スポーツ・美容・飲食など、ライフスタイル全般のプランニング、編集・執筆、商品企画などを行う。
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