デンマークの暮らしと「ヒュッゲ」(11)

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6月は夏至を迎える月です。北欧諸国の中では最南端に位置するデンマークも緯度はかなり高いので、夏至の日照時間は18時間近くになります。6月になると朝は4時が過ぎると明るくなり、夜は8時あたりからゆっくりと日が落ちてゆきます。10時頃に日が沈みますが、それからゆっくりと黄昏の時間が流れ、夜の暗さを感じるのは深夜が過ぎてからです。天気のよい日には、数時間に渡る美しい夕焼けが楽しめます。「ぎんぎんぎらぎら」の夕焼けではなく、パステルカラーが幾重にも重なる優しい色合いの夕焼けです。この美しい夕焼けを楽しみながら、心地よい気候の中、家族や友人と一緒に屋外でくつろいで過ごすひとときも、夏らしいヒュッゲです。

夏至に近い6月24日はキリスト教の洗礼者聖ヨハネの生誕日です。前日の6月23日、前夜祭として、水辺に大きな焚き火を用意し、たくさんの人が集まり歌って踊って、夏至を祝います。古代から、夏至には太陽の力が最も強くなり、自然の偉大な力も夏至に最高潮に達すると言われています。薬草なども夏至の前夜に摘むと最も大きな効力が望めるという言い伝えもあります。日暮れが遅いためか、焚き火は夜9時を過ぎてから点火されることが一般的で、小さな子どもの参加は難しいのですが、幅広い年齢層が大勢集まって、太陽の力を愛でるこの行事も6月の代表的なヒュッゲです。

夏至の頃、デンマークの教育機関が学年末を迎えます。学年末なので宿題もなく、子どもたちは夏休みを存分に楽しめます。趣味のクラブや教室なども夏休みに入ります。学年末の最終週には、学校全体が打ち上げモードとなり、「今年最後の」お楽しみ行事が連日催されます。卒業する9年生生徒によるパロディー色たっぷりの「引き継ぎ式」、午前の授業時間の大半を費やす朝ごはんの会、全学年合同でびしょびしょになって遊ぶ水鉄砲の打ち合い、豆まきならぬ「キャラメルまき」、卒業対抗サッカーなどは、息子の学校での学年末の恒例行事です。生徒も先生も、毎年楽しみにしている学年末ヒュッゲだそうです。学年末を楽しく迎えると、さぁ、いよいよ夏休み!長い休暇で少し特別なヒュッゲが楽しめる日々に夢と期待を膨らませます。

執筆:くらもとさちこ
広島県出身。広島女子大学卒業。コペンハーゲン在住。デンマークの「ヒュッゲ」と食文化に興味を抱いて30年近く、デンマークでの暮らしを実践。デンマークの高等教育機関で健康と栄養を専攻後、地元で丁寧に育てられた旬の野菜を主役にした身体に優しい料理を提唱している。菜食を伝統とするシュタイナー教育機関での献立指導とレシピ開発にも力を注ぐ。デンマークの文化を日本に紹介するつなぎ役として活躍する側面を持ち合わせる。今年4月に誠文堂新光社から出版された「北欧料理大全」で翻訳と編集を担当。

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