デンマークの暮らしと「ヒュッゲ」(14)

よかったら、シェアして下さい。

デンマークはなだらかな丘陵地以外は高低差が極めて少ない土地柄で、都市部では自転車道が整っていることもあり、自転車はごく一般的な交通手段です。年中、通勤や通学を含めて多くの人の毎日の移動手段となっていますが、清涼な気候の夏、サイクリングはレジャーとしても幅広い年代の人々に楽しまれています。

また、デンマークは海に囲まれていることもあり、水辺や水上でのレジャーにも圧倒的な人気があります。海に出かけることは頻繁ですが、水温が15度前後のことが多いため、泳ぐというよりは水と戯れることが一般的で、海辺で日光浴をしている人の方が断然多いのも特徴的です。心地よい風や海の香り、そして波の音などが楽しめるセーリングにも人気があります。

コペンハーゲンは運河にも囲まれているので、多くの人が気軽に水辺や水上で楽しむ時間を持っているように思います。特徴的なのは、太陽があたる側の運河沿いに多くの人々が集まっていることでしょうか。仕事や学校が引けた後、黄昏時の夜10時辺りまで、ゆっくりと過ぎていくひとときを楽しんでいる様子は、夏らしい風物詩です。

運河ツアーはコペンハーゲン観光の定番ですが、コペンハーゲンで暮らす人々は、定員8〜10名の貸しボードで家族や友人と一緒に水上でのひとときを気軽に楽しんでいるように感じます。一緒に過ごしたい人と気持ちのよい風に吹かれながら美しい景色に囲まれて水上を遊覧している様子は、絵に描いたように素敵なヒュッゲの空間で、眺めている方も楽しい気持ちのお裾分けを預かります。個人所有のボードやヨットもかなり一般化しており、小さめのマリーナが運河沿いにいくつも用意されています。また、水上でのひとときをゆっくり楽しむために用意したと思われるソファー付きの筏など、独創的な自家製の筏もよく見かけます。カヌーやスタンドアップパドルボードにも人気があります。

デンマークらしい夏の風物詩と言えば、アイスクリームもその一つに挙げることができます。手焼きのアイスクリーム・コーンに複種類のアイスクリームをのせ、その上にソフトクリームを絞り、イタリアンメレンゲを上乗せし、メレンゲをチョコレートコーティングしたお菓子「クリーム・キス」を崩しててっぺんに飾り、その上にジャムをトッピングする豪華版は、思わず圧倒されるデンマークらしい組み合わせです。酪農王国でもあるデンマークのクリームは上質なものが多く、乳製品が大好きな人も多いので、少しでも暑くなると、老若男女お構いなくアイスクリームを楽しんでいる風景を見かけます。デンマークの暑過ぎない夏には、生クリームがベースになった昔ながらのアイスクリームがよく似合うような気がします。

執筆:くらもとさちこ
広島県出身。広島女子大学卒業。コペンハーゲン在住。デンマークの「ヒュッゲ」と食文化に興味を抱いて30年近く、デンマークでの暮らしを実践。デンマークの高等教育機関で健康と栄養を専攻後、地元で丁寧に育てられた旬の野菜を主役にした身体に優しい料理を提唱している。菜食を伝統とするシュタイナー教育機関での献立指導とレシピ開発にも力を注ぐ。デンマークの文化を日本に紹介するつなぎ役として活躍する側面を持ち合わせる。今年4月に誠文堂新光社から出版された「北欧料理大全」で翻訳と編集を担当。

あわせてどうぞ:

よかったら、シェアして下さい。

フォローする